2025年3月
シンガポールでは、第二世代永住者(PR)の男性は兵役(National Service, NS)義務を負います。今回はあまり公にはされていない、NS義務を果たす前にPRを放棄した人のデータについて考察してみます。
NS義務を果たさずPRを放棄したケース
2014年から2023年の10年間で、年間平均450人の第二世代PRの男性が、NSに従事する前にPRを放棄しました。一方で、同期間にNSに入隊した第二世代PRは年間平均1,900人でした。
シンガポール入国管理局(ICA)や国防省(MINDEF)は、NSを完了せずにPRを放棄した場合は、今後シンガポールでの長期滞在、就労、または留学のためのビザ申請において、不利な影響を及ぼす可能性があると警告しています。
多くのPRがNSを履行している一方で、少なくない数の人が義務を果たす前にPRを返上していることは注目に値します。
NSを完了した後の市民権の放棄
NSを完了した後にシンガポール市民権(国籍)を申請した場合は、有利に審査される傾向があります。しかし一方で、市民権を取得したにもかかわらず、NS完了後に国籍を放棄するケースも一定数存在します。
2014年から2023年の間、NSを完了した新国民のうち、年間平均140人がシンガポール国籍を放棄しました。このうち96%は40歳以上であり、多くが兵役義務がなくなった後に国籍を放棄していることが分かります。つまり、新たに市民権を得た人が返上する場合においては、NS従事は主な理由ではないことが伺えます。
PR申請者が考察すべきポイント
家族で申請を考えている場合、息子がNS義務を負うことを理解し、それに伴う責任や制約を考慮することは不可欠です。入隊時期は在学中であるケースが多く、もしシンガポール国外へ進学している場合、Exit Permitの取得や保証金の預入が必要になる場合もあり、注意が必要です。
シンガポールはNS制度を国家の安全保障を支える重要な制度としており、PRを含めた移民政策はシンガポールの国防政策と密接に結びついています。PRとしてNS義務を果たすことは、市民権取得の際に有利に働く一方で、NSを回避するためにPRを放棄する行為は、本人の今後のビザ申請の際に不利な影響を及ぼす可能性があるため、放棄する場合は、将来のシンガポールでのキャリアやPR再申請など、様々な可能性を考慮した上で行う必要があります。
PR申請に第二世代を含めるか否かを検討する際には、子供が負うことになるNS義務と将来に与える影響について十分に理解し、長期的な展望をもって決断することが求められます。
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